政経動画プロジェクトです。今回は、国民主権 です。

小学生でも知っているこの概念ですが、簡単なようで実は奥が深い問題です。

ポイントは、「最終決定権」の意味です。権威の側面と権力の側面が不可分に結合しているのです。

「権威」と「権力」の説明については動画をご覧になってください。

特に「権力」の説明は、参考書などにもあまり書いていないので、聞いたことがない方がほとんどだと思いますが、一橋などの論文の対策としては必要だと思い、敢えて取り上げています。上位校を受験される方は必須だと思って勉強して下さい。

移動の時間などを使って効率的に勉強して下さい。復習チェックもぜひ利用してください。

書き起こしも載せておきます。

国民主権の主権の意味には、3つの意味があります。
まず、一つ目の意味は、立法、司法、行政という国家権力そのものをさします。国の統治権の意味です。
ポツダム宣言第8項の「日本国ノ主権ハ、本州、北海道、九州及四国並ビニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」という文言の中の主権がこの意味です。
2つ目の意味は、国の対外的な独立性を意味します。つまり、その国が、他の国の植民地ではなく独立して国政を運営できることを意味しています。
例えば、日本国憲法前文3項では、「自国の主権を維持し・・・」と、規定していますが、ここでいう主権が、その意味で使われているものです。
さらに3つ目の意味が、国政の最終決定権です。この国政の最終決定権が君主にあれば、君主主権、国民にあると国民主権というふうにいいます。
日本国憲法全文1項の、「ここに主権が国民に存することを宣言し・・・」とある、この主権が、この意味です。

では、国民主権とは、もっと具体的にみると、どのようなものなのでしょうか。
まず、定義としては、国政の最終決定権が、天皇を除く国民にあること、とされます。
そして、この「国政の最終決定権」には、権威と権力の2つの側面があります。
まず、権威の側面についてお話します。
それは、国民主権が、現に行われていて日本の政治が正しいという裏付けを与えるもの、と言えます。
例えば、主権者である国民の代表者が国会で話し合って、法律を制定します。
国会のきちんとした手続きで成立した法律は、国民主権のもと成立したのだから正しいものである。
これは正当性の根拠を持っているといえます。
これが、国民主権が持つ、権威の側面です。

そして、日本国憲法は国民が作った憲法(民定憲法)です。
国民は憲法を作ることができる力である、憲法制定権力を持っています。
しかし、一旦憲法を作った以上、その憲法を作る力はもはやみだりに使われることはありません。
憲法の中に、これを改正する力として封印されているのです。
そして、必要のある時は、その封印が解かれます。
厳重な手続きのもと憲法改正権として、国民により発動されるのです。
この時、この力を発動させることができるのは国民だけ、という意味を表しているのが、権力の側面と言うことになります。

では、権威、つまり正当性の根拠を与える国民というのはどんな国民でしょうか?
それは、文字通り赤ちゃんからお年寄りまでの日本国民全員ということになります。
では、憲法を改正する権力を発動させる国民はどんな国民でしょうか?
それは、国民投票で一票を投じることができる国民、つまり、全有権者ということになります。
しかし、やはりこの場合も、なるべく多くの国民に投票できる権利を与えたほうがいいと思いませんか?
憲法改正も全国民の意思に近づける方が望ましいと言えますよね。
ですから、国民投票法では、18歳以上の男女に、憲法改正の投票権を与えるように定められています。
これには、公職選挙法や民法などの法律の改正が必要になります。
そこで現在、該当する法律の改正を急いでいるところです。

では、国民主権には、どんな役割があるのでしょうか。
それには、「個人の尊厳」が関係しています。
「個人の尊厳」は、憲法の最高の価値を含んでいるのでしたね。
それは、自己実現の価値と自己統治の価値でした。
国民主権には、この「個人の尊厳」の価値と人権保障の実現を図る役割があるのです。
つまり、人権保障を実現する一方で、国民は権利を濫用しないで「公共の福祉」も守らなければなりません。
「公共の福祉」と言うのも難しい概念です。機会があればこれについても説明しなければなりません。
ここでは仮に、「他人に迷惑をかけないこと」としておきます。
この「公共の福祉」を守るためには、やはり法律が必要となります。
しかし、戦前のような天皇主権の下では、「公共の福祉」を口実にした新しい形の「法律の留保」ともなりかねません。
そして、人権侵害の危険が生じます。
国民が代表者を選んで国会で話し合って法律を制定する。
つまりこれは、自分たちの権利を自分たちの手で制限することになりますよね。
この場合、他の場合と比べて、国民主権が、国民の権利侵害の危険が最も少なくなるだろうと言われています。
つまり、自己実現と自己統治の価値や、これらから派生する人権を確実に守るためには、国民主権が最適ということです。