今日は、
2013年本試験の第24問です。
**問題**
売買に用いられる貨幣は価値尺度・交換手段・価値貯蔵手段・支払手段としての機能を果たす。
これらの各機能に関係する文のうち価値尺度機能に関する事例として最も適当なものを次のうちから1つ選べ。
1.資産の一部を生鮮食料品で保持していたAさんは、腐敗による価値の目減りを恐れて、それらを貨幣の形で持ちたいと考えた。
2.Bさんは、Cさんのサンマとの物々交換を望んだが、Cさんに断られたため、まず、自分のバナナを売って貨幣を手に入れることにした。
3.Dさんは、後払いの約束でEさんからリンゴ10個を買い、後日、代金をEさんに渡して約束を果たした。
4.綿布を製造しているFさんは、製造費用や市況などを考慮して、綿布1メートル当たり100円の価格をつけた。
**解説**
貨幣には、様々な機能があります。
問題文中には4つ示されています。
問題文の貨幣の機能の分類はマルクスによるものです。
マルクスによると、貨幣にはこれともうひとつ、世界貨幣としての機能があると言われます。
つまり、国際間の決済や支払いの手段としての機能です。
勉強のポイントは、それぞれの機能の名前だけでなく、具体的なイメージを持つように覚えることです。
さて、問題の選択肢をみます。
まず、1番ですが、生鮮食料品は、長期保存できず価値が損なわれてしまいます。
この点、貨幣は、長期間保存が可能なので価値を蓄えることができます。
これは、価値貯蔵手段としての機能を表しています。
したがって、1番は×です。
次に2番です。
貨幣は、物品やサービスと違い純粋に価値だけを持っています。
そこで、基本的にはどんな物品やサービスとも交換可能です。この貨幣の機能を交換手段といいます。
したがって2番はやはり×です。
3番は、貨幣を使えば、その場で商品と貨幣を交換するのではなく、後日、代金を渡すということもできる、ということを表しています。
これは、当たり前じゃないか、と思われるかもしれませんが、貨幣は価値を保つことができるので後日渡しても、交換が成り立ちます。
これが物々交換だと成り立たない場合があります。生鮮食料品などだと、時間が経過すると価値が減ってしまうからです。
また、価値が減らないからこそ相手も信用して、貨幣で支払ってくれるならいいよ、と取引が成立するわけです。
こういう貨幣は、信用貨幣といい、支払手段としての機能を意味します。
ですから、3番は×ですね。
ということは、4番が正解です。
詳しく見ていきます。Fさんは、綿布という商品に1メートル100円という価格をつけました。
これによって、Fさんの綿布という商品がどのくらいの価値があるものなのか買い手に示して、買うか買わないか判断させる働きをしています。
このように貨幣には、その商品の価値がどのくらいのものかを示す尺度の機能があります。
以上から、正解は4番です。
貨幣は、この機能についてだけでなく、他にも押さえるべきポイントがあります。
それは、以下の点です。
・貨幣制度
(金本位制や管理通貨制)
・現金通貨と預金通貨
・預金通貨の信用創造機能
・通貨供給と景気の関係
・通貨供給と物価や為替の関係
などです。
こういうところは当たり前にセンターに出てきますからよく勉強しておいて下さい。