私大、特に早稲田の問題を意識して、論述の記事のページも作りたいと思います。
早稲田の問題は、大別すると、短い論述(20〜30字程度)と比較的長い論述(90〜120字程度)に分けられると思います。
短い論対策としては、用語集をよく読んで、その定義や趣旨、目的、背景などを頭に入れておけばいいと思います。また、長い論述も、定義や趣旨、目的、背景などを組み合わせれば解答になります。ただ、こういうものはある程度練習しておかなければ、本番でいきなり書くのも難しいでしょう。
また、論述してみると、自分が理解できていなかったことや、制度間、概念間の関係の理解が深まり実力がアップします。ですから、考える政治経済の教材としては最適のものといえるでしょう。壁にぶち当たって成績が伸び悩んでいる人、早稲田レベルの実力を付けたい人には、非常におすすめの勉強法です。
私の塾では受講生には当たり前にやってもらっていますが、受験生の大半は、論述の勉強を意識してやったことがないと思います。論述問題と言えば穴埋め、用語を答えるだけのものが多いですよね。こんな勉強方法もあるんです。
ではでは、前置きはこれくらいにして、本題に入りましょう。
第1問
ホッブスの社会契約説を100字内(句読点を含む)で説明しなさい。
どうです?書けそうで、意外と難しいですよね?これがスラスラ書けるようなら、あなたはかなりの実力の持ち主です。
早稲田の政経学部には、かつて藤原先生という、ホッブスの専門家がいて、その弟子で有名な人は、あの東大教授だった、姜 尚中(カンサンジュン)さんなんかもいます。私も藤原先生の授業受けたことがありますが、難しかった…。
それは、ともかく、もしこんな問題が試験に出たら、どんなふうに書きますか?ちょっと考えて、下にスクロールしてみてください。
では、実際に私の生徒さんがどんな解答をしているか、お見せしますね。
自然状態を万人の万人に対する闘争状態というマイナスな考えを主張し、その自然状態から脱出するために国民は自然権を国家に放棄し、自然法に従って国民は主権を国家に放棄すべきということを主張した。(93字)
いい感じに出来ていて、かなり理解していると思います。ホッブスの社会契約説のポイントをよく押さえています。「万人の万人に対する闘争状態」「自然権を放棄」をよく押さえています。でもやはり、直すべきところはありますね。まず、「マイナスな」は、例えば、「悲観的な」というふうに言い換えた方がいいですね。「脱出」は「脱却」にしましょう。また「主権」は「自然権」にしましょう。そして、後半部分は、絶対王政を擁護する結果となったことをいれましょう。
そうすると、下のようになります。
自然状態を万人の万人に対する闘争状態というように悲観的に定義し、その自然状態から脱却するために国民は自然権を国家に対し放棄すべきということを主張した。その結果、絶対王政を擁護することになってしまった。(100字)
いかがです?良くなったでしょう?こんな風に書ければ合格点です。