こんにちは。
こんにちは。
テッド、今日はどんなお話?
地震のお話だよ。
きのう、熊本で震度7の大きな地震があったから、地震の備えとか組織体制とかをお話しようと思うんだ。
そうね、昨日、東京でも23区直下型の地震もあったから、備えや、国と自治体の体制について知っておきたいわ。
入試面からも、地震についての政府の対策などを知っておくことは大切だよ。
まず、地震の観測体制はどうなってるの?
まず、現在の観測体制は、1965年の「地震予知計画」という政府のプロジェクトから始まってるんだよ。
測地学審議会の答申をもとにして、7次におよぶ「5カ年計画」で、全国の地質や活断層の調査が行われたんだ。そして、それを本にして、地震の起こるメカニズムや影響などの研究が進められたんだよ。
でも、1995年の阪神・淡路大震災(M7.2)の発生によって、国の地震予知推進政策は大転換を迫られたんだ。
つまり、1995年に制定された「地震防災対策特別措置法」によって、当時の総理府(現在は文部科学省)に、「地震調査研究推進本部」というのが置かれて、従来の「地震予知推進本部」が廃止された。
これはどういうことかというと、従来は、近い将来起きるであろう「東海・東南海地震」を念頭に、その「地震予知」に力を入れて、いわば、狭い意味での「地震対策」をやってきたんだけど、阪神・淡路大震災も予知できなかったし、被害を想定した対策が十分にとられてこなかったことを踏まえて、地震の予知ばかりに力を入れてもダメだということになったんだよ。
そこで、もう少し広い意味で、地震の発生メカニズムや、実際に地震が起きた時にどんな被害がどれくらい出るのか、被害を未然に防ぐにはどんな体制にすればよいのか、また、地震発生の確率はどれくらいか、など、実用的で広範囲な研究が進められることとなったんだ。
そして、最終的には、その地域が、どのくらいの大きさの地震に見舞われるのかを示した、「地震動予測マップ」っていうハザードマップの完成を目指しているんだって。
「地震予知計画」は、2009年から、「火山噴火予知計画」と統合されて、「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」になった。
また、2014年からは、さらに変更されて、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」と改められたそうだよ。
なるほど、そういう観測や研究の体制が整備されているのね。
もう少し具体的にお話してくれる?
うん。
まずね、地震観測網の強化とリアルタイム地震防災に重点を置いて観測体制が推進されているんだ。
つまり、地震が発生した直後に、適切な対応がとれるように整備されたもので、地震発生直後に大きな揺れが来る前に、警報を発することが出来るシステム、「地震早期検知システム」と、地震が発生して被害が出てしまったあとに、各地の被害状況をいち早く正確に把握し、早急に応急対策がとれるように、「リアルタイム防災情報システム」というのが、推進されているんだよ。
地震観測や観測網の強化については、気象庁が主にその役割を担っていて、全国各地に、地震観測施設、震度観測施設、津波観測施設、地殻岩盤ひずみ観測施設を衛星回線などの専用回線で結んで、東京や大阪の気象庁の中枢に集まる仕組みを作っているんだ。
また、「地震早期検知システム」は、地震の初期微動(P派)を観測したらすぐに主要動(S派)が来る前に警報を発して、自身による被害を軽減しようするものだね。
これは、1985年に、JRの新幹線などに最初に実用化させて、新幹線の自動停止などに活用させたりしてきた通称「ユレダス」という「地震早期検知警報システム」が有名だね。
また、国の「防災科学技術研究所」と「気象庁」の協力で、2005年から実用化されている、また2007年から一般化した、「緊急地震速報」もこういう対策の一環なんだよ。
「東日本大震災」の時も、「緊急地震速報」が、テレビやラジオから流れたね。
あれで、命拾いした人もたくさんいたみたいだから、役に立ってるんでしょうね。
被害発生後の政府の対策はどうなってるの?
さっき言った、「リアルタイム防災情報システム」によって、政府は、各地から被害情報を収集することができるよ。
この情報をもとにして、さまざま対策をしていくんだ。
まず、組織を説明するね。
「災害対策基本法」という法律をもとに、政府には、内閣総理大臣を長とする「中央防災会議」という組織があるよ。
この会議のメンバーは内閣の閣僚の他、指定公共機関の長4名と学識経験者5名によって構成されている。
この他に中央省庁などの指定行政機関や国の各地方整備局などの指定地方行政機関などがあるよ。
ここで、国の基本防災計画の策定や、重要施策の決定、様々な防災地域の指定などをしている。
また、消防庁、警察庁、海上保安庁も災害時の活動を決めているし、防衛省の海上、陸上、航空の各自衛隊も災害派遣のための準備をしている。
また、「地震予知連絡会」(国土地理院)とか「地震火山噴火予知協議会」(大学機関)という組織もある。
あとは、各地方公共団体に、災害時の応援組織のようなものが整備されていることもあるけど、東海、東南海地震の強化地域指定を受けている自治体を除いては、あんまり、整備が進んでいないみたいだね。
じゃあ、実際に震災の時の連携はどうなってる?
「東海地震」を例にとって話をするね。
これは、大規模災害対策特別措置法に書いてあることだよ。
まず、地震が起こりそうな時、
気象庁で異常現象が発見される
↓
東海地震に関する調査情報を出す
↓
さらに異常が続くようなら注意情報を出す
↓
さらに異常が続くようなら、気象庁長官から内閣総理大臣に地震予知情報を報告
↓
首相は閣議を開いて、警戒宣言を出す
↓
同時に、地震災害警戒本部を政府に置く
↓
都道府県に、都道府県地震災害警戒本部を置く
↓
市町村に、市町村地震対策警戒本部を置く
こんな感じになってるんだ。
じゃあ、自衛隊の災害派遣のしくみはどうなってる?
まず、災害が発生すると、市区町村長から自衛隊の災害派遣要請の要求を、都道府県知事、海上保安庁長官、管区海上保安本部長、空港事務所長にする。
これを受けて、防衛大臣に派遣要請が出されて、各自衛隊に派遣命令が出されることになっているんだよ。
市区町村長が直接防衛大臣に被害状況の通報をした時も、防衛大臣は、派遣命令が出せることになってるんだ。
ふうん、なるほどね。
地震の時、政府や自治体の対応で多くの人命が救われるかどうかを左右するので、しっかりやってほしいわね。
そうだね。